午後のかいそう

          
                       松原なぎ
 
口ごもる人まで炭化していってこのバスどこにむかうんですか?

来るべき夏にそなえて水ばかり飲みます海になれないわたし

泣いちゃえよ白樺の幹剥きながら奥歯かんでるだれかの子ども

海までのゆめをみているつり革に指をはわせる人、泣かないで

やまいだれみたいに羽を持つべきだあなたにこごむわたしの背中

膝をおりやさしいふりで花を折るわたしの手には足りない祈り

あたたかく腐りおちてく花もまた燃やされちゃうのかしらん ちりり

ていねいにたたまれた傘からおちるしずく集まるすべる眩しい