005:調

今までの句点をぜんぶ調べればあなたが好きといってるはずよ (松原なぎ)

 

 こんかい気になった作品たちです。

 敬称を略しますこと、どうぞ悪しからず。

■調布から京王線に飛び乗ってそれから俺はそれから俺は (空色ぴりか

 それからおれはー?!
 ちょーきになる。

■親戚にもらったせいでこの部屋にちょうど合わない調度品です (鹿男

 よく考えるとおやじギャグすれすれなんですがあるあるってちょっと笑わせてもらいました。
 調度品てちょうどだから調度品なんかしら?

■調べればわかるんだから颯爽と僕とハワイに泳ぎに行こう (伊藤夏人

 唐突なナンパ短歌でふきだしました。
 なんでこんな説得力あるんかしら。

■鴨肉を塩と胡椒で調えて唱える呪文火口湖へ翔べ! (井手蜂子

 料理って魔法みたいではあるのですが火口湖…
 こないだ鶏のしめかたを習ったんですけどちょっとドキドキしました。
 塩胡椒まみれの鴨さんもうまくとべたならよいなぁ。

■ささくれに触れないようにして送る「です」「ます」調の最終メールは  (西野明日香

 秀逸ですね、優しさとはちがうんでしょうけれど
 伏し目がちな「最終メール」、よそよそしい言葉ばかりがならんで、ほんとうにはふれないようにね。
 うーん、素敵。

■調子いい言葉ばかりをくれるけど天気予報は外ればかりで (ひいらぎ

 お天気さんたちはたしかに調子いいことしか言わないですよね-"-
 着眼点がよくってついつい朝方に口ずさんでしまいそう。

■たぶんもう辿り着けない場所なのに月あおき夜に調べていたり (水口涼子)

 わたし小道がすごい好きなんですけれど
 こう好きに曲がりくねっているようなやつ、たまにすごく良い場所にたどりついて
 季節の花やその時の時間や、空気、すべてが一期一会で、でもたまに思い出したりします。

■グーグルで君の気持ちを調べててリンクたどれば、えまさかそんな (ほきいぬ

 みなさん一度はグーグルで調べるですよね、句読点の使い方うまいなぁ。
 どっちかっていうとのろけ短歌なのかしら?

■失望は聴き覚えのあるロ短調(自鳴琴ふと鳴り出すように) (星川郁乃

 触ってもないオルゴール、をおくったひとへの失望でしょうか。
 とてつもないドラマが隠されていそうです。

■「ともだち」の調印式はやり直しふたりの名前波がさらって (ぷよよん

 ふふふ、この二人の裏もけっこう探ろうとすればさぐれそうですね?
 リリカルだなぁ。

■路線図を調べる人はその先にある悲しみにまだ気づけない (emi

 線路図見るのすきなんですけど、無機質だからこそたちのぼる何かがあるのでしょう。
 悲しみには一生目をつむっていたいです。

■あ。聞こえる。調整室の外は雨。「みずいろ水の色でありたし」  (間遠浪

 調整室って何を調整しておられるのでしょうか。少女ロボットのA/C比率でしょうか。
 「みずいろ水の色」ですべて許されそうですね。