004:ひだまり
■ひだまりに君がつるしたサンキャッチャーゆれて(会いたい)ひかる(会えない) (文月育葉)
せつないなぁ。
一瞬なんでしょうけどね、夜とかじゃなくてキラキラした一瞬なだけにせつない。
■そとまわりひだまりさがしとおまわりそのこだわりがついわだかまり (湘南坊主)
おもしろい。
ひだまり中毒のサラリーマンの悲哀、てとこでしょうか。
い段てけっこう断ち切れる印象なんですけど、まとまりがうまい。
■アパートに帰ってみるとテーブルに見覚えのないひだまりがある (新田瑛)
ちゃぶ台じゃだめですかねー、ちゃぶ台で再生されました。
「見覚えのない」って茶目っ気たっぷりでかあいい。
■ひだまりを駆ける子どもの声遠く冷えた布団できみと抱き合う (denkoo)
「ひだまりを駆けるこども」をつくる作業にいそしんでるっていうよりは
ユートピアとディストピアが内包されている対比の歌のようで、ってことは主体と「きみ」はあんまり幸せじゃないのかしら??
かなしい。
■ひだまりで小鳥と泳いでみたくなり春の水着を試着してみる (岡本雅哉)
「春の水着」って鳥型だったらおもしろいですよねー。
うぐいす型とかつばめ型とか目白型とか。
そういう歌意からはなれてあそばせてくれる歌だとおもいました。
■踏み出せば必ず陰に差しかかる とっくにゼリー状のひだまり (虫武一俊)
なんでしょうね、救われない世界観のように思える下句。
やけにねばついてのこりました。
■ひだまりのなかのあなたのたましいのかたちをずっとおぼえておくよ (羽根弥生)
日かげのなかにもあなたはいるんでしょうけどねぇ、
いじらしい。