006:水玉
■約束をした日からもう高鳴りは始まっている水玉のシャツ (月下燕)
うーん、こないだ「幻の男の人がいる」って「003:助」の作品に書いたのですが
月下燕さんはほんもののまぼろしかもしらんな、と作品群をみて思っています。
うーん、わたしがすれてるだけかもしれませんが。
■水玉のハンドタオルで汗をふき夕暮れ前に頼むバリハイ (イマイ)
バリハイってビールですよね。
ビールも主体も汗をかくゆうぐれ前(水玉っていうとなぜか水色なんですよねー、わたしのなかで。)
ずいぶんあざやかな一瞬。
■100均のビニール傘もオレンジの水玉模様に変わる夕立 (都季)
夕立ちはすぐに上がるから夕立ちなんですよね。
さいきんの夕立のふぬけ具合におかんむりですよ。
こういうしあわせが短歌の醍醐味やなぁと思います。
■あついねと笑うあごから落ちそうな水玉(たぶん舐めたら甘い) (本田あや)
こういうお歌を読むと「わたしったらどこで道まちがえたのかしら」って思います。
水玉にははにかんだ主体がうつっているんでしょう。すてき。
■雨粒が作る水玉白い傘濡らして消える僕らこれから (マトイテイ)
ドロン。
相傘ってなんで罪悪感と離れられないのでしょう。
口ごもっているような上の句に宣言の下の句がマッチしとりますね。
■いつのまにか干からびた水玉だったので丁重に川へ戻してあげた (富田林薫)
ほったらかしにしているものたちって、けっこうありますよね。
「丁重に」ってよい言葉。
水玉は川から海に戻ってクラゲになって、密林の奥地あたりでビニール袋として活用されています。
■水玉のインナーなんか着ちゃっててまっすぐ家に帰るんだから (振戸りく)
このガールズ短歌、いいですねぇ。
わたしは水玉にご縁がないのですが、こういう人がいるという事実はすごくうれしいです。
■偶然を装い会えば駆け落ちのごとくに窓を滑る水玉 (ジテンふみお)
まぁぁぁ。
片恋のいちばんラリっている時のときめき具合でしょうか。
水玉は滑りながら一つになるから、きっとしあわせになれるはず。
■浴槽へ落とす嘆きを混ぜ合わせ指で繋げた壁の水玉 (水風抱月)
いろっぽー。これ以上のコメントはさしひかえます。
■起立する胸元にある水玉の適正比率考えており (遥遥)
水玉ってポップなイメージがありまして、けっこう逃げらんないんですよね。
学生生活、水玉に「適正比率」でポップからはなれられるんですね、シビアな歌になってますもんね。