010:街

あの街に虹がさすのを待っているわたしひたすらタンバリンうつ (松原なぎ)

タンバリンTL25 T?1834

 今回気になったお歌たちです。

 取り上げさせていただきましたらTBでご報告、もしできていなかったらコメントか伝書鳩でお伝えいたします。

 街角で受け取っていただけたならうれしいです。

 敬称略しますことどうぞ、あしからず。

■街路樹が静かな傍観者に変わるその瞬間を見逃したのよ (jonny

 けっこう気を抜いてると季節はあっちゅー間にすぎてゆくもんですね。
 気がついたら遠くに行かれたらさみしいですね。

■海へ逝く人たちがみな足早に通り過ぎてく鈍色の街 (月下燕

 自殺には海を選ぶんでしょか。
 ってほどでもなく海還るとの言葉もあるようにふらふらっとね、
 鈍色がいやになる日もあるでしょうし。

■君の住む街の天気が気になって 心にいつもてるてる坊主 (詩月めぐ

 かわいい。
 ひたむきですねー。

■街角に貼られたダンスパーティのビラ初めてのドレスで行こう (五十嵐きよみ

 ハイ―ソサエティでしょうか、アメリカでしょうか。
 ちょっとした異世界です。

■すくみつつ都庁の外を見てみれば街は玩具に陽は陽のままに (柚木 良

 高いところの夕景はおもちゃじみてますよねー。
 「陽は陽のままに」沈む夕日、ダイナミック。

■寂しさを街まで売りに来る人のマッチ全部買ってしまいました (西野明日香

 なんでしょうね、この読後感。
 なんで後悔してらっしゃるんでしょう。
 さみしさを売ってるのに何故マッチ。
 悩みはつきないのに魅力もつきませぬ。

■うたがいはなにもうまない うつくしく 街の灯りをにじませる雨 (斉藤そよ

 涙の比喩でしょうか。
 こういう「二人でつくってゆく」恋の前向きな瞬間てのをひさびさに見た気がします。

■わたくしは永久凍土と添い遂げる生まれた街を貶めながら (秋月あまね

 そんなに絶望しないでください。
 

■みぞれなど降りだしそうな問屋街スプーンフォーク静かに光る (夏実麦太朗

 着地うまいですよね。
 新生活って感じのイメージがあるんですけどね、問屋街。

■うらみごとばかりの街をあたらしい一眼レフで丁寧に撮る (わたつみいさな

 あたらしい見方はできたでしょうか。

■きみの背をめじるしにして追いかけた南京街は飲茶の匂い (暮夜 宴

 「南京」できるのか、「南京街」であるのか。
 探検っぽくて楽しいです。

■スパンコールが弾けたあとの歓楽街赤い鱗の散らばる舗道 (ほたる

 すてき。
追記:これ街をさくっと水槽扱いしてるのが詩的やなー、と。

■市街地で育ったんだねやわらかくひとのあいだをすり抜けるきみ (岡本雅哉

 こんな技術持ってない…

■君と似た苗字の看板見つけては鼓動早まる見知らぬ街角 (七五三ひな

 けっこう表札ってみますよね。
 わたしは変わった苗字を見つけることに血道をあげていて
 しまった、だからときめきの少ない毎日なのか…!

■この街の壊死した場所になんとなくなんとなく埋めていくどんぐり (みち。

 街頭の地図ってなんか確かに細胞みたいですよね。
 どんぐりすくすく育ちますように。