010:街
あの街に虹がさすのを待っているわたしひたすらタンバリンうつ (松原なぎ)
今回気になったお歌たちです。
取り上げさせていただきましたらTBでご報告、もしできていなかったらコメントか伝書鳩でお伝えいたします。
街角で受け取っていただけたならうれしいです。
敬称略しますことどうぞ、あしからず。
■街路樹が静かな傍観者に変わるその瞬間を見逃したのよ (jonny)
けっこう気を抜いてると季節はあっちゅー間にすぎてゆくもんですね。
気がついたら遠くに行かれたらさみしいですね。
■海へ逝く人たちがみな足早に通り過ぎてく鈍色の街 (月下燕)
自殺には海を選ぶんでしょか。
ってほどでもなく海還るとの言葉もあるようにふらふらっとね、
鈍色がいやになる日もあるでしょうし。
■君の住む街の天気が気になって 心にいつもてるてる坊主 (詩月めぐ)
かわいい。
ひたむきですねー。
■すくみつつ都庁の外を見てみれば街は玩具に陽は陽のままに (柚木 良)
高いところの夕景はおもちゃじみてますよねー。
「陽は陽のままに」沈む夕日、ダイナミック。
■寂しさを街まで売りに来る人のマッチ全部買ってしまいました (西野明日香)
なんでしょうね、この読後感。
なんで後悔してらっしゃるんでしょう。
さみしさを売ってるのに何故マッチ。
悩みはつきないのに魅力もつきませぬ。
■うたがいはなにもうまない うつくしく 街の灯りをにじませる雨 (斉藤そよ)
涙の比喩でしょうか。
こういう「二人でつくってゆく」恋の前向きな瞬間てのをひさびさに見た気がします。
■わたくしは永久凍土と添い遂げる生まれた街を貶めながら (秋月あまね)
そんなに絶望しないでください。
■みぞれなど降りだしそうな問屋街スプーンフォーク静かに光る (夏実麦太朗)
着地うまいですよね。
新生活って感じのイメージがあるんですけどね、問屋街。
■うらみごとばかりの街をあたらしい一眼レフで丁寧に撮る (わたつみいさな)
あたらしい見方はできたでしょうか。
■きみの背をめじるしにして追いかけた南京街は飲茶の匂い (暮夜 宴)
「南京」できるのか、「南京街」であるのか。
探検っぽくて楽しいです。
■スパンコールが弾けたあとの歓楽街赤い鱗の散らばる舗道 (ほたる)
すてき。
追記:これ街をさくっと水槽扱いしてるのが詩的やなー、と。
■市街地で育ったんだねやわらかくひとのあいだをすり抜けるきみ (岡本雅哉)
こんな技術持ってない…
■君と似た苗字の看板見つけては鼓動早まる見知らぬ街角 (七五三ひな)
けっこう表札ってみますよね。
わたしは変わった苗字を見つけることに血道をあげていて
しまった、だからときめきの少ない毎日なのか…!