018:格差

天地格差を説く指に輪が光りせんせいわたしけっこんします (松原なぎ)

 今回格の差にがくぜんとしながら気になったお歌たちです。

 敬称略しますことどうぞ、あしからず。

■小規模な格差社会にこだわってさすがですねと言えばいいかな (穴井苑子

 ぜったいダメでしょう。
 ものすごい直球の皮肉ですが、この切り口は他に見かけませんでした。

■午前二時迷惑メール来る夜の格差においでこっちの水よ (久哲

 難解だわー。
 甘そうなんですけど、あ、逆?苦いとして、格差と迷惑メールをつなぐものがいっさいないのにもかかわらず
 「おいでこっちの水よ」の親和力にびっくり。

■世代間格差を嘆く恋人のくちびるに差し入れるポッキー (五十嵐きよみ

 おしゃれ短歌。

一票の格差が存在するようにあの子のチョコはそんなに大事? (チッピッピ

 これ、すごいですよね、風刺と同時に嫉妬心を詠んでいる。
 「一票の格差」ってどんなのだろう、と思ったけど影響力のある人の一票ならぞろぞろ浮動票がついてくるもんなあ。

■仙人が庭で霞を食べている春だ難儀な格差社会だ (O.F.

 「格差」はさすがに重い歌意のお歌が多かったのですが煙にまかれそうでいいですね。
 難儀って言ってるんですけど上の句のおかげか全体的にとてもほのぼのしている。

■格差 わたしがいるのがどのへんだとしてもまっすぐひとの目を見ていいの (英田柚有子

 いいんです。