019:ノート
あたらしいノートに折り目つける時したたり落ちる雨はじめての(松原なぎ)
今回気になったお歌たちです。ノートがわりにここに記しときます。(TB数124まで)
取り上げさせていただきましたらTBかコメントか伝書鳩か気合いでお伝えいたします。
敬称略しますことどうぞ、あしからず。
■立ちのぼるトップノートのなつかしき南国の花 きみ色の夜 (じゅじゅ。)
香水のやつですよね、トップノート。
「なつかしき」というのは「南国」にも「きみ」にもかかっているようで深みがあります。
いろっぽい。
■ノートには写しきれないスピードで君もどんどん擦り減ってゆけ (伊藤夏人)
おお、ニヒル。
冷徹な観察者でありきれる人はいらっしゃるんでしょうか。
すり減ってすりへって、角が取れたらまた違うふたりになれるといいなぁ。
■もう二度と読み返すことの無いノート空っぽの部屋ひえびえと春 (ezmi)
引越しの季節ですね、春。
持主のさったあと、置き去られたいろいろがしずかに影をおびてゆく情景がおもいうかびました。
哀惜といくばくかの郷愁に共感を。
■「圏外」になったこころで抱き合ったアストロノート《コスモスよ、咲け、》 (石畑由紀子)
アストロノートからの言葉遊びでしょうか。コスモス。
普段は記号や句読点の多様は読み飛ばす癖があるんですが
こちらはつるりとはいってきましたね。
■愛しかた間違えたって気づく夜ラストノートが髪を撫でてく (村木美月)
いろっぽい。
時間がたてば香水のかおりも関係性も刻々と変化していって
もう取り戻せませんね。