023:シャツ

ワイシャツのかぎざきに飛びこんでゆくとりつくろわぬふたりになりに(松原なぎ)


 今回シャツの襟をただすほど気になったお歌たちです。(TB数117まで)

 取り上げさせていただきましたら伝書鳩か気合いでお伝えいたします。

 敬称略しますことどうぞ、あしからず。

■君だけというわけじゃなし春がきて洗いざらしのシャツに着替える(わたつみいさな

 はるるるる。

■「口紅がついてるよそのシャツの襟」「流行ってるんだみんなつけてる」(祢莉)

 みんなってどこの誰さんと誰さん?!!ってやつだー。おもしろい。
 こういう機転のきく殿方は残念なくらいにもてますね。

■向きあったテーブル越しに思いだすあなたのシャツに火を放つ夢(ひぐらしひなつ

 年数をかさねた男女のテーブルにはなにがおかれているのか。
 このお歌はこわいのにあまやかですね。

■母さんがおれのサイズのYシャツをいつも買うから話せなくなる(虫武一俊

 うっふふふ、残酷な神であるところの愛はこんな形でハクガイしてくるわけですね。
 正しい家族の形ってなんでしょうねぇ。



残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)