003:公園

立て!走れまわれはばたけ公園に透けるみどりとまみれて笑う(松原なぎ)


 お気に入りのお歌たちです。(TB179まで)
 取り上げさせていただいた作者さま、どうもありがとうございます。
 敬称略しますことどうぞ、あしからず。

■公園には忘れてしまう爺さんと名前を忘れられてしまう木(飯田和馬)

 そう、知らないっていうより忘れてしまうのですよ、だってみんな名札してるんですもん。

■片隅に砂場は乾く公園の中心が愛を叫ぶときにも(古屋賢一)

 砂場にはえいえんのなぞが埋まっているのです。

■いくつもの言わぬが花がこそこそとつぼみを揺らし夜の公園(笠原直樹)

 まんかいになりますか?

■帰らずに済む旅のこと考へるベンチがひとつ公園にある(野州)

 ずいぶん余韻があります、ベンチはいつもそこにあります。

■水音を浴びてふたりは抱き合へり記憶のなかの上野公園(梅田啓子

 わたしには鳩とクレープのおもひでばかりがあります。

■給食のパンくず鳩にやりながら独りを知らないままの公園(こゆり

 ひとりきりにはなれないものです。

■公園にたつぷりと咲くパンジーのひとつひとつとつながるあなた (春村 蓬

 たたずむひと、いますよね。おはなちゃん。
 わたしは座り込む人なので、どちらかといえばクローバーと仲良しです。

■無造作に置いた言葉を監視する子供が多すぎる公園に(青木健一

 「おい!ぜったい/だれかは見ているぞ」
 うちの近所の公園の張り紙。かなしい。

■だれにでもやさしい春の公園のようなかたちで抱きしめられる(みち。

 あたたかければ、それで、ねぇ?